ベース弾き菊田茂伸のブログ

都内近郊を中心に活動を展開する、Jazz・Pops・Soul・R&Bなどなどでベースを弾く菊田茂伸の、スケジュールなど情報を中心に発信するブログであります。

菊田茂伸Trio Album 「Covers」

Coversジャケ
「Covers」

2021年11月17日リリース予定
全13曲入り

1.少年時代 (井上陽水)
2.Someday We'll All Be Free (Donny Hathaway)
3.The Sun Goes Up And Down (中島道博)
4.Choo Choo TRAIN (中西圭三)
5.Down By The Riverside (アメリカ霊歌)
6.Nocturne Op.9 No.2 (Frédéric François Chopin)
7.Rainey Day And Coffee (菊田茂伸)
8.Rainbird (岩﨑千春)
9.Someone To Watch Over Me (George Gershwin)
10.A Time For Love (Johnny Mandel)
11.月の砂漠(日本唱歌)
12.どんなときも。(槇原敬之)
13.Sunday Morning(Maroon 5)


定価2500円(税別)


菊田茂伸:bass
岩﨑千春:piano
中島道博:drums



ジャンル不問!まさかのアレンジが名曲を引き立てる。
構想から13年、トリオ初のカバー曲集アルバム「Covers」遂にリリース!



Amazon、iTunes、DiscUnionでも取り扱い予定!




Youtubeで収録曲「Sunday Morning」試聴もできます。

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菊田茂伸トリオ「Covers」収録曲解説

今回は2021年11月にリリースされる菊田茂伸トリオのアルバム「Covers」に収録されている、楽曲についての解説、コメントをこちらに記します。
選曲にあたり、自分の本当に好きな曲ばかり選びました。元々の曲と作曲者・アーティストへのリスペクトを忘れることなく、トリオの演奏を取り組みました。このアルバムに収録させていただいてる楽曲のその理由・背景などを、少しでも知っていただけると幸いです。





1.少年時代(井上陽水)

この曲がリリースされたとき、私は少年でした。夏の華やかさ、思い出、そして切なさが詰まったこの楽曲の真っただ中にいました。当時はただただ楽しかった夏休み、しかし今はもう帰ってこないあの夏。あの時間を振り返ることができる今だからこそこの曲の風景がありありと浮かばせることができる。それに気づいた時にはすでに大人になっておりました。
なかなか賑々しいアレンジで、あれ?とお思いの方もいらっしゃるかと思います。しかし、ブラジルの曲の中にはリズミカルでも悲しい曲はたくさんあるんですよね。悲しい切ない曲だからこそこのリズムになるのは、自分にとって自然な選択であり必然なのです。


2.Someday,We’ll All Be Free(Donny Hathaway)

学生の時、特にR&B、Soul Musicに傾倒しておりました。うわーかっこいい!どうやったらこんなにグルーヴするんだよ!など、日々サークルの仲間らと研究・セッションなど時間をかけてやっておりました。
その中で最も聴いたアーティストの一人、Donny Hathaway。名盤「Live」を筆頭にリッチなグルーヴ、目が覚めるようなハーモナイズ、そして心に入る歌声。すっかりと虜になり日常ひたすら聴き込んでおりました。
この曲に限らず、彼の曲は70年代のアメリカ公民権運動、アフリカンアメリカンの社会での苦悩が背景になっている曲が沢山あります。しかしこの曲は自分の中で、現代の先の見えない世の中における「いつか自由に」という願いと重なるように思えるのです。


3.The Sun Goes Up And Down(中島道博)

菊田トリオドラマーであり、作曲も手掛けるアーティスト中島道博による楽曲。
彼が参加するバンド「Space Age」のアルバムにも彼自身が提供していたかっこいいこの曲を、うちのトリオでも演らせてください!と私のオファーでセレクトしました。
「街の朝から夜までの、またそれらを繰り返していく日常を俯瞰的に捉える」というお題で書かれたというこの曲。まったく同じテーマでかつて自分が書き上げた「The City Life」と近い風景を描いているのにも関わらず、また違った視線で違った表現でもそれが伝わるという、その面白さも合わせて共感いただけたら嬉しいです。


4.Choo Choo TRAIN(中西圭三)

古くはスキー場に行く電車のイメージソング、21世紀に入ってからはエンタメ系男性グループのカバーでも有名なあの曲。
曲を聴くと、自分の中で豪雪地帯に住む祖母に会いに行く時の記憶が湧くので、前者のほうがイメージ強いかもしれません。東京の少年がトンネルくぐった先の真っ白な世界に狂喜するような、そんなわくわく感を誘うメロディは、今の「元」少年も心を躍らせてしまいます。
アレンジではワルツではありますが、雪の上を疾走するイメージはそのままのつもりです。


5.Down By The Riverside(アメリカ霊歌)

アメリカの古くからある歌、トラッドジャズなどでも取り上げられることが多い曲です。
元々自分はセッションなどで知った曲ではありましたが、最初はただ明るくてノリがいい曲と思っておりました。が、由来や歌詞を後から知って、さらに好きになった曲の一つです。
トリオでは普段このスタイルの曲はあまり取り上げないのですが、トリオ1作目タイトル曲「Under The Sunshine」では積極的に寄せさせていただきました。


6.Nocturne Op.9 No.2(Frédéric François Chopin)

ショパンのノクターン。クラシック詳しくなくても聞いたら誰でも聞いたことのあるあの曲に、モダンジャズでは定番と言ってもいい、ラテンからスイングに切り替わるアレンジを施しました。今でもたまにトリオで演奏したりしております。
トリオ1作目アルバム「Under The Sunshine」でも収録したのですが、それから12年後に録り直してみようと思い付きで録ったテイクが今回のテイクです。両方お持ちの方は是非聞き比べていただければと思います。皆様はどちらがお好きですが?私はさらに12年後のテイクを録ってから考えたいと思います。


7.Rainy Day And Coffee(菊田茂伸)

カバー曲集というのに自分の曲をどさくさに紛れて入れる、それが菊田トリオ(笑)。
2020年に唯一私が書き下ろした楽曲です。もともと某動画サイトのBGMとして作った楽曲だったのですが、これトリオでやってみたらどうかしら?とやってみました。
雨の湿気は、日ごろ使ってる楽器の関係上あまり好きではありませんが、雨の音、空気、ちょっとブレイクを入れるようなコーヒーの香りがミックスされると、とても好みの風景になります。たまには休んで、リラックスしましょう。と自分に言い聞かせるような。そんな曲になりました。


8.Rainbird(岩崎千春)

かつては自身のトリオでオリジナルを作り披露していたピアニスト岩崎さんに、今回のアルバム制作に向けて曲を提供してほしい、とお願いしたところ、このアルバムのために曲を書き下ろしてくださった、そんな曲です。メンバーの曲だし、書き下ろしだし、それってもはやカバーっていうのかどうか、、、まあいいか。
インディアンの住む地方の言い伝えで、恵みの雨を呼ぶ伝説の鳥の名を冠した楽曲。鳥の呼んだ雨が人々の大地を潤して、鳥がそこから飛び去って行く。。。そんな様子が伝わるようなストーリー力の強い楽曲です。流石です、先生。


9.Someone To Watch Over Me(George Gershwin)

ガーシュインの名曲。もともとミュージカル曲であったが、代々ジャズミュージシャンが長く取り上げ続けた「スタンダードナンバー」のひとつ。
この曲の世界観は現代でも通じる!そう信じて、現代ならではのビートを入れてみようと試みた結果、ヒップホップをイメージしたビートをアレンジとして取り入れてみました。ただしサビ部分はオリジナルに近いバラード。
時代を超えても思いは一緒。そんな気持ちを込めたこの温度差が激しい2種のアレンジ。その落差を楽しんでいただけたら、と思います。


10.A Time For Love(Johnny Mandel)

ジョニーマンデルが映画のために書き下ろした曲。しかし何かとジャズミュージシャンに取り上げられて名演がいくつか残されている楽曲であります。
自分が特に心に残っているのは、ブラジルの伝説的歌手Elis Reginaのアルバム「Elis in London」のテイクです。それはオーケストラのアレンジでさらに深まるハーモニーの中悠々と歌い上げるエリスの、最も輝いている瞬間の一つが収められてます。エリスももちろんですが、この曲も一気に好きになってしまいました。
トリオでは、静に近いバラードを意識し、中盤をワルツにすることで高揚感を表現できるようにアレンジを施しました。演奏する側としては地味に難しいアレンジになってしまいました。


11.月の砂漠(佐々木すぐる)

言わずと知れた日本の唱歌「月の砂漠」。曲を記念した像が千葉県御宿にあります。ラクダで砂漠を越えての夜の旅、そんなイメージが残る楽曲です。
どうしても砂漠の旅となると、日本を離れ大陸の旅へ、キャラバン隊で進むシルクロードのイメージもあります。ならば両方を合わせてみよう、とエリントンのCaravanを彷彿するようなアレンジを取り入れてみました。
雄大な自然の中を行く旅は、ただ優雅なだけではない、常に危険と隣り合わせた世界。そんな緊張感も演奏から感じていただけたらと思います。


12.どんなときも。(槇原敬之)

1991年の大ヒット曲です。あの頃ひたすらラジオからもテレビからもずっとかかっていた印象があります。
一人の男性が新たに強い決意を誓うこの曲は、時代を超えていつでも通用するメッセージとエネルギーがあります。
コロナ禍で今までのように音楽に接することができなくなっても、それでも変わらず「どんなときも」音楽を楽しみたい、そんな気持ちを込めました。
サビ前の手拍子、5拍子のアレンジではありますが、曲に合わせて一緒に叩いていただけたら幸いです。


13.Sunday Morning(Maroon 5)

アメリカ出身のバンドMaroon5のヒットナンバーをswingにアレンジしました。まるで西海岸を象徴するような明るくそして気持ちのいいメロディは、軽快なファストスイングにもぴったりだと思いました。
トリオではよくライブのアンコールで演奏することが多いです。特に土曜の夜に。「皆様、良い日曜日をお過ごしください」と気持ちを込めてお届けしてます。そして当アルバムのフィナーレにも相応しいかと思っております。





皆様、最後までお付き合いくださいましてありがとうございました。このアルバムのサウンドが少しでも皆様の日常が豊かになる助けになれば、本当に嬉しく思います。

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菊田茂伸トリオ「Plays Standards」収録曲解説

1. Moon River
Henry Mancini作曲、映画「ティファニーで朝食を」のテーマソングでお馴染み。いろんな演奏でもお馴染み。
本来のメロディをもちろん崩すことなく、メロディを際立たせるアレンジができないものかと、この形に辿り着きました。3拍子のスロウなワルツ。じっくり、時間を味わうように。
前半はマイナーで少し怪しくもある感じ、後半は陽が差し込むような明るさを持たせてみました。結果、よりメロディを美しくたたせることが出来たと思います。


2. Honeysuckle Rose
ピアニストFats Waller作曲のスタンダードナンバー。出だしのメロディが「変なおじさん」に聴こえると各地で言われております。曲の途中で3拍子から4拍子に変えてしまおうと、スピード感がギュンギュン変わるアレンジを施してみました。かなりメンバーには負担を(自分も)かけてしまいましたが、その甲斐もあり、変則的なビートにも関わらずトリオの魅力を存分に発揮したテイクが録れました!


3. Fantasy in D
ピアニストCedar Walton作曲。彼も在籍していたJazz Messengersの名演が有名ですね。オリジナルは滑走するようなアップテンポSwingです。この曲「Ugetsu」とArt Blakeyが曲紹介しておりますが(「Ugetsuは日本語でFantasyという意味」と言っております)、江戸時代後期に書かれた上田秋成著「雨月物語」から取ったという噂が。でもこんな爽やかな小説ではないのですけどね。一体どこでBlakeyが雨月物語を知ったか、さっぱり謎なのです。
雨を連想するニュアンスのBossaでまとめることができました。


4. Whisper Not
サックス奏者Benny Golsonの書いたスタンダード。ブルージーな空気も持ちつつ、わずか8小節でコロコロ転調する構造であるこの曲は、ジャズの象徴的楽曲であると同時に、そんなことがどうでもよくなるくらいメロディが素敵なのです。この曲こそ自分のジャズの入り口のひとつだったと思います。
今回は私のベースがメロディを担当しております。「ささやくような静寂」のなかに、ひしひしと流れる情熱を表現できればと演奏いたしました。


5. Love Letters
Victor Young作曲。これもジャズを始めた直後から慣れ親しんできた曲のひとつです。学生時代のセッションからよく演奏してきましたが、今回は初めてのアレンジに挑戦しました。少しヨーロピアンな、メロディが引き立つような疾走感のあるイメージに。
本当に手紙に文字を書くようなメロディ、シンプルながらに美しいなと演奏するたびに思います。


6. Mack the Knife
ドイツ出身作曲家Kurt Weillがオペラ「三文オペラ」の劇中歌として書いた曲。ジャズ演奏家中心に演奏し継がれ、いろんなジャンルにてスタンダードとして広く親しまれています。ちなみに日本語版カバーでは美空ひばりをはじめとした歌手も取り上げているとのこと。
今回はfeat.中島道博ということで、ドラムにメロディを叩いていただこうとこんなアレンジにしてみました。ドラムからスタートして後からベースピアノが入るという、不思議な展開です。


7. Danny Boy
元はスコットランドの古くから伝わる民謡。お別れを歌う歌詞が付き日本ではこのタイトルで広く親しまれていると思います。女性から男性は別れを告げる歌にも見えますし、戦地に子供孫を送り出す背景にも見えるという曲でもあるので、一部では反戦歌としての解釈もあるようです。
この古来からあるメロディを、現代日本ポップスでありがちな突然の転調的エッセンスを加えたアレンジで仕上げてみました。


8. Moonlight Serenade
Glenn Miller楽団のテーマ曲、超有名な故私もジャズを聴く前から知っていた曲です。小野リサさんのBossa Novaアレンジなども有名ですね。私も各地で演奏する機会に恵まれました。
今回はSambaベースのアレンジにしました。今回の録音、トリオでは珍しくエレキベースを使ってみました。本当は使うつもり無かったのですが、エンジニア平野さんとの話の流れで急遽投入。結果とても歯切れの良いテイクになりました。


9. Remember
Irving Berlin作曲のちょうど100年前のラブソング。書いた直後はそこまで評価されなかったらしいのですが、後々様々なプレイヤーが取り上げスタンダードとなった模様です。
テナーサックス奏者Hank Mobleyのスーパー名盤「Soul Station」のプレイが印象的ですよね。そこからインスパイアされてトリオ向けのSwingアレンジを書き上げてみました。フレーズのスピード感など楽しんでいただけたら幸いです。


10. Edelweiss
映画「Sound of Music」の挿入歌、小学校などの授業でも取り上げられるくらいの超有名曲です。Richard Rodgersの作品。映画の中でもオーストリアの山々に咲くエーデルワイスを通じ祖国愛を歌う重要な曲でありますが、それを現代に置き換え、ドローンで山々を巡る風景に例えてのアレンジにさせていただきました。時代を超えても讃えられる山々の風景を、このトラックから感じでいただけたら幸いです。

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おまけCD「音のStandards Official Bootleg」収録曲解説

1. I Love You ~Bedtime Story~
尾崎豊の「I Love You」。実はここ10年くらい何かとトリオでは取り上げてきたのですが、こちらは今回のブートレグ完全新録バージョンです。
1曲で2曲分美味しいをテーマにアレンジしたものがレパートリーとして数曲あるのですが、こちらもそのグループです。Herbie HancockのTell Me a Bedtime Storyのアレンジ・コード進行に載せた「I Love You」、まさしく1曲で2曲分美味しい!
しかし両方の曲を知っててニヤニヤする人はどのくらいいるのだろう?我ながらとてもニッチなアレンジだなとつくづく思います。


2. Remember(take1)
Plays Standardsに収録されている曲のFirst Take。後から録ったtake2を本採用としましたが、レコーディングどっちのテイクがいいか判断できなかったため、とりあえず後日決定ということで持ち帰ったテイクであります。まさしくテイクアウト!(言いたかっただけ)
本採用より落ち着いていて、尚且つフレーズもクール。んーやっぱりこっち採用でも良かったかなあ。まだ悩んでます。


3. Drizzle in Summer(take1)
こちらは音のツアーズに収録されたバラード。東川町をテーマにしたバラードは実はもう一曲ありまして、結局こちらを採用したという経緯があります。もう一曲は移民として町を開拓した方々、そしてそれを今も引き継いでいる方々を書いた曲でした。え、それ収録すれば良かったって?そうなんですよ!(笑)
本編収録よりシンプルなアプローチが特徴的なテイクです。これもどっちを本編に収録するか悩みました。


4. Trammin'(take1)
こちらはレコーディング初日、一番最初に録ったテイクですね。本番録りの前にメンバーそれぞれが使っているヘッドフォンとマイクのレベルなど調整するために録ったテストテイクでもあります。なので序盤ヘッドフォンのバランスを手元のコンソールで調整しながら弾いてるベースはちょっと間違ってたりしてます。笑
これもテストテイクとしてはもったいなかったなあ、というくらいの出来です。


5. Rainbird(Fender Rhodes Ver.)
前作Coversに収録された、ピアニスト岩﨑千春オリジナル曲。の、スタジオに置いてあったFender Rhodesを弾いてみたバージョンです。実はこのテイク、iTunes含む配信版ではすでに流れているバージョンなのです。CD購入勢は聴いたことない方が多いだろうと改めてこのおまけCDに加えてみました。
ちなみに岩﨑さん、アメリカ留学時代はRhoseを所有されており積極的に演奏で使われていたとのこと。


6. Oh!! Dears(Live)
2013年11月宮城県石巻でのライブの様子を収めたアルバム「Spring Is Beautiful Live at Ishinomaki」に収録し切れなかったテイクを引っ張り出してみました。ライブ特有の空気感がしっかり収まっていますね。
石巻の方言で「おだる」「おだつ」というのは「ふざけている、馬鹿なことをする」的な言葉です。そんな人たちがいっぱいいる→複数形でおだーず→Oh Dearsという由来の曲です。ドラム佐久間さんがこのテイクでも見事におだってます。


7. Homeway(Live)
ありがたいことにこの曲はプレイヤー的に評判が良く、この曲やりましょうよ!と共演するミュージシャンが居たり居なかったり。2nd「海辺のジョニィ」のラスト、家路に着くイメージな曲になっておりますが、元々誕生日を迎えた友人に書いた曲だったんですね。タイトルも決まっておらず、彼が好きなラーメン屋でのトッピングコール「ニンニンマシマシ」という仮タイトルで発表しました。タイトルそのままだったらどうだったかしら。もしこの曲のタイトルが「ニンニクマシマシ」でも皆さん好きでいてくれましたか?


8. All the Things You Are
2008年5月、菊田トリオ結成初のレコーディングを行いました。この日スタジオ入って最初のテストテイクとして収めたのがこの曲です。まさしく正真正銘の菊田トリオ「First Take」。このテイクを元にサウンド作りなどエンジニアさんとプロデューサーと打ち合わせした記憶があります。この後録った本編は「Under the Sunshine」になりました。
改めて聴いてみると、今のプレイとは全然違うところ、今も変わらないところ、いろいろ発見があります。いやーこのテイクを残しておいて良かったです。


9. Blues by Five
こちらは初めてのレコーディング、全て予定の収録曲を収めた後、あと一曲くらい記念に録ろうという話になってのテイクですね。実はこのテイク、発掘するまで私存在を完全に忘れておりました。ただし圧縮した後のファイルしか見つからず、少し他のトラックに比べて音質が粗くなっております。悪しからず。
佐久間さんが「今の音は今しか録れない」とこの時のレコーディング終わって言ってたのを覚えてます。本当にその通りですね。こんな若々しくてアッパーなテイク、とてもじゃ無いけどもう録れる自信は無いです。
でも逆に今回の本作「音のツアーズ」「Plays Standards」も同じ事が言えるのかしらと思います。録音は二度と帰ってこないその時間を切り取り保存する行為、それが未来に繋がるんですよね。

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菊田茂伸トリオ「音のツアーズ」収録曲解説

1.Where Shall We Go?
2019年ごろから富山にて年1〜2回のペースで地元のミュージシャンの皆様と続けて開催しているライブイベント「音のツアーズ」のテーマソングとして書き上げたナンバーです。ライブイベント「音のツアーズ」はライブを聴いてる皆さんがまるで旅行に出ているような気分になるよう、「旅」をテーマに楽曲が構成されてます。コロナ禍を挟んだことでこのテーマはよりニーズを感じ、自分の活動の中でも重要なものになりました。
あれ?待てよ?菊田トリオも「風景をもとに音楽で描く」サウンドをキャッチフレーズにしているはず。この「音のツアーズ」ってそのままトリオでも出来るのではないか?とアルバムの構想を練り始めました。いろいろ考えている中この曲が完成したことが今回のレコーディングの決定打となったのです。
シンプルな32小節のアッパーなスイング曲の中に、皆様を旅へ誘うストーリーを詰めることができたと自負しております。


2.Leaving
日本人だけでしょうか?旅愁って感覚があるのは?
「旅に出ました、楽しい!美味しい!スパイシー!(?)」って曲だけなのは何かバランスが悪いし、それだけなのは何か嘘くさい気がするんです。
旅って色々あると思うんですよ。誰かに会いに行くだけではなくて、何かを忘れるためだったり。新しい自分に出会うということは、今の自分が過去のものになってしまうということではないでしょうか。
トリオでは珍しく、いかにも旅愁を漂わせるようなメロディと質感、敢えて正面から描いてみました。解決感の無いインタールードもお気に入りです。


3. Trammin'
ライブツアーなどに出るとどうしてもスケジュール詰め詰めになってしまうため、1箇所の滞在が短くなってしまうことが多いのです。もちろん仕事ですし、演奏に来たのだからそれが当たり前なのですが。多くの荷物、楽器、CDなどを持っての移動が普通です。しかし、ふらりと目の前に現れた路面電車に手ぶらでふらりと乗るような旅が出来たら、どんなに素敵なことでしょうか?
ツアーで訪れた各地、あちらこちらで路面電車の風景を見ることができました。札幌、高岡、堺、岡山、高知。この曲は富山の市内をゆっくり走る路面電車をイメージして書きました。Trammin'は英語「Tram」から派生した創作単語です。


4. Everybody Gets To Go To The Sea
2021年夏。都内のコロナ新規感染者5000人突破した日に私はイベントが行なわれる北海道小樽を目指してました。広大な空と大地、本来ならウキウキで仕方ないはずなのになんとなく後ろめたい気持ちも。そんな複雑な気持ちを抱えながら快速エアポートから見える風景を眺めていると、そこは広がる石狩湾。白い砂浜の上にはしゃぐ大勢の道産子達(違う方もいただろうが)の姿が!!北海道の短い夏を全力で感じる彼らの姿とそれを悠々と受け入れる海を見ていたら、いつの間にか先程までウジウジが気持ちが無くなっているではありませんか!いきなり北海道の「大きさ」にやられた瞬間でもありました。
帰ってきてからそんな風景を思い出した曲がこちらです。そう、人はみんな海を目指すのです。


5. Into The Sea Of Clouds
2022夏、ニセコでライブイベントのため開催前日より会場入り、設営・リハーサルを終えると街は霧の中でした。宿泊先を目指し山を登っていくと急に満点の星空と羊蹄山のシルエットが。途中で飲み物を確保しなければならないことを思い出し、数分前に通り過ぎたコンビニに引き返したところ、霧の入り口がくっきりと現れました。その霧はとても濃厚な白。まるで白いカーテンのようでした。雄大な大地の、壮大な夜空の元、それらすらも飲み込んでしまうような雲海の中に車ごと身をを沈めるのでありました。

6. Pass The Peak
札幌から40分ほど南に車を走らせると、温泉でも有名な名勝定山渓に辿り着きます。さらに南に国道230号線で山の中を進んでいくと、うねうねと坂道が続きます。話によるとかつてはさらに厳しい道のりだったとのことです。
そしてその坂を登り切るとその頂点中山峠へ到達します。この高度だと夏でも札幌の街より6〜7度気温が低くひんやりした空気が流れます。パーキングエリアで販売されている名物「あげいも」は、北海道産の美味しいじゃがいもをアメリカンドッグの衣につけ、歯触りサクッの仕上がりな軽食。一串3個セットですが、3個食べるとその日の夕飯食べられなくなります。注意。
あれ、曲の解説でしたよね?そんな中山峠の曲です。


7. Drizzle In Summer
夏の朝。目が覚めると涼しい風と共に雨の湿った空気が。静かな霧雨が時間を通り過ぎていきます。屋根から時折降りる雫がしとしとと。
ここまで急いだ旅、何か気持ちの忘れ物はないかい?と誰かに訊かれているような気すらします。
大きく息を吸い込むことでそこにある忘れ物を全て拾い集め、次の出発の準備を始めました。
人間、時折しっかり湿気のある重めな空気に触れる必要があるようです。


8. Harvest
前作「Birthdays」では田植えの季節と美しさを讃えた「Daddy's Paddy」という曲を披露させていただきました。この曲を仕上げた時から、セルフアンサーソングを書こうと心に決めており、今回「収穫」というテーマで書かせていただきました。
実際夏から秋にかけて私がツアーに回ると、頭を垂れる稲穂があたり一面に広がる道などに出くわすことがあるのです。それはまるで金色の絨毯、海。この場所に向かい合った方々のここまで積み重ねた努力がこの色の原料なのではないでしょうか。
宮城、富山、新潟と、そう言えば私の旅は米どころばかり回っているような。そういうご縁なのかもしれません。


9. この街に住めたら
旅などちょっとした散策でも、その街の不動産屋などに出会ったら部屋なり物件なりのチラシなど覗いたりしませんか?自分はよく立ち止まって見てしまいます。さらに時間があったら、もし自分がこの部屋にこの街に住むのであれば、どんな生活をするかな?どんな出会いがあるかな?など、空想に更けたりすることもあります。
そんなイメージを曲に落としてみました。どこか足が地面についてないようなふわふわした気持ち。でもやはりそれは現実にはなかなかなり得ないあくまで空想、切ない気持ちも混ざる。そんなシーンが伝われば幸いです。
旅って日常に近いちょっとしたところにもあるんですね。


10. Hymn To The River
四国を東西に流れる川、吉野川。地図上では存在を知ってはいたものの、いざ河口にたどり着いた時想像を超える雄大さにひたすら唖然としました。そして川に沿ってさかのぼってゆくと、そこには豊かな自然と人々の暮らしが。そして上流の険しい自然の中を泳ぐ渓流の美しさ。水面の輝きはまるで生きているかのように。まさしく四国という島の「母なる川」がそこにありました。
ちょうど滞在中天候にも恵まれたこともあり、陽のイメージが残りました。でもきっとそれだけじゃない、そこにある厳しい自然とその中で生きる人間を讃える曲を書こうと思い、旅を終えしばらくしてから形にすることができました。
また伺いたいです。


11. Rainbow Rainbow
10日以上の長いツアー、その最終地点に選んだのは北海道帯広。初めて向かう土地に向かう車の中から巨大な虹を見ました。前に曲にした「四時の虹」よりも明るく、でもとても鮮明な虹。十勝平野は本当にまっ平ら、よくこの果て無い土地を先人は開拓したよなと思います。その大地の縁に虹はしっかりと根付いて生えてました。
虹の根元には何があるって話、昔どこかで聞いたなとか思いだしました。この長い旅を労ってくれてるのか、ようこそ帯広へ!なのか、とにかく虹が我々のことを歓迎してくれてるようでした。
本当にすごいものを見ると人間、言葉を失くして笑うしかできなくなるんですね。そんな曲です。



音のツアーズ、曲解説でした。最後までご覧になっていただきありがとうございました。
もし、もう少しお時間ございましたら、地図上で辿る「音のツアーズ」もいかがでしょうか?
「音のツアーズ」はこのあたりの風景を描いております。
「音のツアーズ」Google Map イメージマップはこちら

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